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柴又 〜大都市・東京の中で古き味わいを感じられる街!
東京の北東部に位置する柴又。一般的に海外の観光客が多く立ち寄るエリアではありませんが、東京の他の地域とは異なり、良く保存された歴史的な街並みが残っております。きっと、皆さんの知る東京とは全く違った一面を見ることができるでしょう。今回の特集企画「Aerea of Japn 一日時間ができたとき、私はここに行く!〜東京編〜」記事では、tsunagu Japan編集者が柴又を案内します。昔ながらの建物や、この土地ならではのお菓子が食べられるお店、都会にいながらにしてゆったりとした静けさと日本らしい風景を楽しむことができて、とてもおすすめのエリアです。
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柴又帝釈天参道 〜東京有数のノスタルジックな街を探検する
17世紀から参道が整備され、19世紀末から次第に店舗が建ち並び、現在のような景観になっていったノスタルジックな街並みが広がる柴又。駅から出た瞬間にタイムスリップしたような感覚になります。ここは戦火を免れた老舗が多く、東京の貴重な風景が保存されています。現在に残る貴重な文化価値として、レトロな商店街と参道を兼ねた柴又帝釈天参道があり、日本木彫の傑作である柴又帝釈天に続いています。
柴又帝釈天は、正式には経栄山題経寺といいます。龍が今にも飛び立とうとしているような樹齢400年の「瑞龍の松」や、江戸時代最後の名匠といわれる坂田留吉が1896年に建立した、高くそびえ立つ優美な二天門、法華経の10の説話についての精巧な彫刻が施され、参拝者に畏敬の念を起こさせる本堂など、多くの見どころを誇る寺院として知られています。
柴又駅から柴又帝釈天までの約200 mの参道は、ゆったりと古き良き時代の魅力に浸ることができ、大都市・東京の喧騒から離れるのに最適な場所です。
江戸川沿いに位置する柴又は、古くから水運が発達し、人や物の往来が盛んな場所でした。1629年に帝釈天が創建されると、祀られている本尊が病気平癒にご利益があると信じられ、さらに多くの参拝者が訪れるようになり、活気ある参道が発展しました。その後、昭和(1926年~1989年)に入り、鉄道などのインフラが整備されると、東京の日帰り観光地として栄え、街や商店街は拡大を続けました。
柴又は現在、東京の下町のひとつに数えられています。下町には独特の歴史的景観を保ちながらも、活気と独特の伝統を守り続けている古い街並みが集まっています。浅草や谷中などの人気エリアもありますが、柴又は都内では唯一、関東地方でも2箇所しかない国の重要文化的景観に指定されており、文化庁の認定を受けているのです。東京近郊における日常生活や文化の変遷を見事に体現している柴又は、東京の知られざる一面を見ることができる場所と言えるでしょう!
柴又の老舗やレトロなお菓子を紹介
参道では、柴又ならではの文化や味を味わうことができます。魅力的な店構えや、入り口の奥に見える古風な内装に魅了され、何度も足を止めては、柴又が歩んできたこれまでの時代を探訪していました。
柴又ハイカラ横丁 〜柴又の古き良き昭和を味わう
柴又帝釈天参道に入るとすぐに目に飛び込んでくる「柴又ハイカラ横丁」は、私の大好きなお店です。昭和の香り漂う店先は、レトロなプレートや大胆な看板で彩られ、遊び心満載。日本の歴史の中でも特にダイナミックな時代として知られる昭和の賑わいを表現しています。懐かしいお菓子や記念品の宝庫を冒険する前に、思わずハイカラ横丁のシンボルであるロボット自販機でドリンクを買ってしまいました。お店の雰囲気に浸りたい人はぜひ買ってみてください!
柴又ハイカラ横丁は、この地域に点在していた 駄菓子屋についての店主の小さい頃の思い出が詰まったお店です。レトロな建物が大好きだった店主は、昭和の香り漂う柴又の駄菓子屋文化を復活させるべく、自分の店を持つことを決意したそうです。
当時の駄菓子屋は大人気で、安く買える甘くて美味しいお菓子 「駄菓子」 を買うため、放課後には子供たちのたまり場となっていました。おもしろいことに、「駄菓子」 という言葉は、「無駄」と「菓子」という2つの言葉からできております。こうしたレトロでお手頃なお菓子が当時の子供達の楽しみになっていたことを物語っています。
店内に入ると、色とりどりの箱や包装がずらりと並んでいます。柴又ハイカラ横丁の品揃えは豊富で、1,000種類を超える品々を見て回るだけで、午後をまるまる過ごせそうなほどでした。
駄菓子の魅力は奇抜なパッケージだけでなく、味も良くて珍しいものが多いことです。たこ焼きやたい焼きのような日本食を小さくかわらいらしくしたものから、プリンのようなデザートの一口サイズまで、甘いものが好きな人も、しょっぱいものが好きな人も、誰もが楽しめるものばかり。
今まで食べたことのないお菓子を選んで、意外な味の組み合わせに驚いたり、新しいお気に入りを見つけたり。柴又ハイカラ横丁に足を踏み入れるたびに、味の冒険をしているような気分になります!
店の奥にはレトロで不思議な楽しい迷宮が広がっています。壁や棚には1960年代の歌手や野球選手のブロマイド写真がぎっしりと並べられ、カラフルなピンボールマシンが並べられていて、楽しく遊べます。2階には、昭和の懐かしいゲーム機や日本の子供向けゲームを展示した「柴又のおもちゃ博物館」があります。また、日本家屋をイメージしたコーナーもあり、古き良き時代を垣間見ることができます!
高木屋老舗 〜明治の老舗で味わう柴又の銘菓
さらに90年前までタイムスリップすると、柴又の明治の名店であり、私の個人的なお気に入りでもある 「高木屋老舗」があります。この店の名物は、米粉とよもぎを使ったつやつやした緑色の「草だんご」です。
柴又は東京にありながら稲作が盛んで、江戸時代から「葛西米」というお米が栽培されていたそうです。そのため、柴又では「せんべい」や「だんご」など、米粉を使ったお菓子が多くあります。また、草だんごの特徴である緑色の「よもぎ」は、古くから薬用として利用されており、昔は厄除けや病気平癒の効果があるとされ、だんごの生地にも使われてきました。
高木屋老舗は、明治元年(1868年)の創業以来、この柴又の味を作り続けています。柴又帝釈天参道のほぼ中間地点に、明治・大正時代 (1912年~1926年) から続く二つのお店が並び、参拝途中の休憩にピッタリです。建築当時の雰囲気を残した高木屋老舗の建物は、当時の柴又の店の建築様式の代表的なものです。木造建築に美しい瓦葺き、そして広々とした正面には趣のある漢字の書体でで看板が書かれています。
お持ち帰り用の草だんごやお土産を買うなら右のお店ですが、高木屋老舗の明治の粋をゆっくり味わいたかったので左のお店に入りましょう。畳とレトロな家具が伝統的な外観にぴったりな静かな茶室で食事を楽しむことができます。私のお気に入りの席は、外の古い通りを今でも垣間見ることができるので、雰囲気を満喫するにはそこに座ることをお勧めします。
草だんごとお茶が運ばれてきてきました。一口食べると、これがなぜ柴又で一番おいしいお団子と言われるのがわかるでしょう!絶妙な歯ごたえとたっぷりのあんこ、そしてよもぎのほのかな風味が残り、驚くほど爽やかな味わいです。高木屋老舗は素材にもこだわっており、お団子はその日に挽いたコシヒカリ、よもぎは清らかな筑波山で育ったもの、小豆は上品な甘さで知られる北海道産を使い、毎日作りたてのものを提供しています。
お客様の満足を常に追求し続ける高木屋老舗が、長い年月を経て残ってきたのもうなずけます!この店の最も有名な常連客は、昭和のスター俳優渥美清でしょう。1969年から1995年にかけて上映された柴又を舞台にした人気映画シリーズ『男はつらいよ』で、旅回りの寅さんを演じた主演俳優です。
この店は、映画の中で何度も登場し、1日の撮影の後にくつろぐ出演者のお気に入りの場所でした。店内には当時の記念写真もたくさん展示されており、柴又の貴重な過去を知ることができます。多くの日本人のファンを魅了したこのシリーズの大成功がなければ、このような東京のレトロな街を完璧な状態で楽しむことはできなかったかもしれません!草だんごを食べる時にはぜひそれらもご覧ください。
い志い - 和菓子の世界を革新する江戸時代の菓子店
柴又帝釈天参道を歩き、食べ歩きおやつの定番商品を売る「い志い」の前を通りかかると、さらに昔にタイムスリップしたような気分になりました。江戸時代末期の文久2年(1862年)に創業したこの菓子店は、この通りで最も古い木造店舗です。老舗でありながらも、並んでいるお菓子の多くに目新しさを感じさせます。
ここは元々は漬物と茶菓子を売る店でした。和菓子を専門に扱うようになったのは近年のことで、現在の店主が地元の食材を生かしたり、日本の味のさらなる発展を目指すため、洋菓子の技術を取り入れるようになったそうです。
柴又を訪れたら、小豆が入ったパンケーキのようなお菓子「どら焼き」を見逃すわけにはいきません。い志いのどら焼きは、一見すると日本で売られている他のどら焼きと同じように見えますが、ちょっと違っています。メニューに「どら焼き」ではなく「寅゛焼き」と書かれているのは、柴又を代表するキャラクター「寅さん」へのオマージュです。虎が描かれたかわいらしいデザインは、「寅」=「虎」という、さりげなくもウィットに富んだ表現です。
このどら焼きの革新性はコンセプトの面白さだけでなく、素材や調理法にも表れていて、今まで食べたことのないようなふわふわな食感に仕上がっています。い志いのどら焼きは、伝統的な「一文字平鍋」という銅板の上で毎日手焼きされています。通常の餡の他に、生クリームと塩を加えたバージョンも提供しており、オリジナルレシピでさっぱりとしたまろやかな味わいになっており、たまりません!
また、い志いには季節の果物を使った「大福」もあります。この日はイチゴとミカンが並んでいました。店主は、和菓子の世界を探求していくうちに、主原料の多くが植物性であることに気づき、バランスのとれた大福を追求するには、国産食材の素晴らしさをより深く理解する必要があると考え、野菜ソムリエの資格を取得したそうです。
旬の食材を厳選し、最終的にきめ細かい餅と関東ではあまり使わない白こし餡(一般的な餡に比べて淡白な味)を合わせ、果物のおいしさを一層引き立てるフレッシュな一品に仕上がっています。
昔の柴又が米で有名だったこともあり、い志いの店主もこの地元の食材の素晴らしさを取り入れたお菓子を作りたいと考え、独自の洋菓子ロールケーキを考案しました。そのおいしさは、すぐにお店のベストセラーとなり、日本のテレビでも何度も取り上げられたほどです!これが、い志いの冒険心と自由な発想の力なのです。
「米米ロールケーキ」 は、その名の通り米粉を使ったロールケーキです。その焼き方はいかにも日本らしく、鰻の蒲焼きの技法からヒントを得て、表面を直接炙るように焼いています。こうすることで、焼くとパリッと香ばしくなる米の特性を生かし、ケーキのふわふわした食感を保ちつつ、皮のサクサク感を出すことができるのだそうです。生クリームがたっぷり入り、砂糖でコーティングしたこのケーキはまさに絶品です!
山本亭 〜柴又の大正浪漫を感じる屋敷と茶室でくつろぐ
ここまで柴又が辿った各時代に触れながら紹介してきましたが、残るは大正時代だけです。柴又には当時のまばゆいばかりの文化遺産が残されております。私はここ山本亭で、柴又帝釈天参道のレトロで静かな散策を締めくくることとしました。
この古い木造家屋とひっそりと佇む伝統的な庭園は、私が都会の喧騒から離れ、リフレッシュしたいときによく訪れる場所です。この家屋は奥まったところにあり、街の喧騒が入り込むことがないからです。大都会・東京の喧騒を離れ、奥の席に腰を下ろすと、次第に心も体も癒されていくのを感じました。
2階建ての邸宅と庭園には興味深い歴史があり、柴又のもう一つの歴史を学びながら、落ち着いた時間を過ごすことができます。カメラ部品メーカーの創業者である山本栄之助が、1923年の関東大震災後に浅草から柴又に移住してきました。4代にわたって同家の住居として使用された後、柴又のある葛飾区が取得し、1991年に一般公開されました。
山本亭は、大正時代に富裕層の間で流行した伝統的な 「書院造り (中央部を通路で囲み、その周囲を襖や障子で仕切る和風の住宅デザイン) 」に、大理石のマントルピースやステンドグラス、精巧なタペストリーなどを用いた玄関脇の洋間など、洋風の要素を取り入れた非常に貴重な建築物です。
また、山本亭は喫茶としても営業しており、座敷に座って景色や雰囲気を楽しみながら、静寂をゆっくりと味わうことができます。緑に包まれ、石橋や灯籠を眺め、池の水音に耳を傾けていると、いつの間にか親しい友人の家でゆったりとお茶を飲んでいるような感覚になるようです。
メニューは温かい抹茶やコーヒーなどの定番と、各月を代表する花などをモチーフにした季節のお菓子が豊富に用意されています。時期によっては、冷し抹茶や、米を発酵させた甘い飲み物である冷し甘酒などの期間限定の飲み物もあります。
今回、私は日本の伝統的な飲み物である「抹茶」を注文してみました。抹茶の上品でほろ苦い味わいと、美しい陶器の手触りを楽しみながら、シンプルで贅沢な時間を過ごすことができました。その時は、抹茶と甘酒の冷製ミックスもあり、普段は味わうことのできない日本の味を堪能することができました!
お茶を楽しんだ後は、昔の武家屋敷に見られた門のような 「長屋門」 や、この家で最も古いとされる伝統的な蔵、優雅な茶室など、庭園の絶景を眺めながら、邸内を見て回りました。
山本亭はガラス障子を多用して、開放感を持たせるとともに、傑作である庭園を縁取って眺められるようにしています。通常の日本庭園とは違い、この建物の主庭には常緑樹だけを植えることを選び、季節を問わず豊かな自然が織りなす絵画のように完璧な雰囲気を醸し出しています。山本亭の庭園は、そのユニークな特徴から海外の日本庭園専門誌(『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』)でも紹介され、常に日本の名園にランクインしています。
アクセス
柴又帝釈天商店街をはじめ、記事で紹介した柴又の観光スポットは、京成金町線「柴又」駅から徒歩圏内(2~3分)にあります。
柴又に東京の違った一面を見る
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