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創業60年以上の名店が教える!美味しいおにぎり作りのポイント
日本の食卓やお弁当でよく見かけるおにぎり。コンビニの商品として思い浮かべる人もいるかもしれませんが、もともとは日本人が日常的に親しんできた家庭食です。おにぎりはお米・塩・海苔・具材という4種類の食材で作られ、自分の好みの具材を選んで食べるという楽しみがあります。シンプルなので作るのはそれほど難しくなさそうに見えますが、より美味しく作るために実は細かいポイントがたくさん隠されているのです。「おにぎりに合うお米の炊き方は?」「あまり強くギュッと握ってはいけない?」「お米と具材の量はどれくらいの比率がよい?」今回、東京の人気おにぎり屋さんに美味しい作り方を教えてもらってきたので、ご紹介します!
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古くから日本人に愛されてきた庶民の食べ物「おにぎり」
おにぎりとは、お米で具材を包み込み、握りながら形を整えたもので、日本の庶民的な食べ物です。現在では山登りからお花見、学校の運動会のお弁当に至るまで、おにぎりは日本の生活に深く根付いています。
おにぎりは古くから人々に親しまれてきました。日本の古い書物にも何度か登場しているおにぎりは、江戸時代以降に旅のお供に持っていくお弁当(携帯食)として、そして農民が作業の合間に食べる簡単なご飯として重宝されてきました。
やがて海苔の養殖産業が発達すると、海苔でお米を包むことによって米粒が手につきづらくなることや、海苔の持つ栄養価値といった様々な長所により、海苔を使用するおにぎりが定着し始めました。また、京都では醤油とみりんで味付けをした海苔が普及したことにより、関西では味付け海苔でおにぎりを包むことが主流になっていったと言われています。
今や、おにぎりと言えばコンビニで買うもの?
おにぎりの歴史について話すにあたり、おにぎりを現代生活にフィットさせたコンビニの話に触れないわけにはいかないでしょう。
1978年、日本のコンビニ大手、セブンイレブンがおにぎりを商品化しました。お弁当箱に入れなければ持ち運びづらかった従来の形式から脱却し、海苔と三角形のご飯をそれぞれビニールで包装して販売することにしたのです。食べる直前に開封して自ら海苔で包むことで、パリパリの海苔の食感を楽しめ、手も汚れづらく、コンビニおにぎりは現代人のニーズによりマッチした形へと進化しました。以来、おにぎりは現在に至るまで日本のコンビニの主力商品の1つとなっています。
種類豊富な具材
おにぎりの具材はお米で包んだり、お米に混ぜたりして使われます。具材の種類は本当に様々です。日本の食材、海外の食材、海のもの、山のもの、どんなものでも全てを温かく包み込こんでくれることこそがおにぎりの最大の特徴の一つでしょう。
おにぎりは食べる人、場所、目的に合わせて自由にその形や具材を調整でき、日本人の食習慣を体現した食べ物でもあります。まさに日本の家庭料理の象徴と言えるでしょう。
おにぎりの形とは?
上記で述べた通り、おにぎりの形には明確なルールがあるわけではありません。俵型(藁を巻いたような円柱形)でも、平べったい丸型やまん丸のボール型でも構いません。
現在よく見られる三角形に発展した経緯としては、古くから人々が山の神を崇拝し、山には神がいると信じられていたためだったとの説があります。山の形(三角形)のおにぎりを食べることで、その大きな力を取り込もうとしたというのです。しかし、他にも様々な説があり、持ち運ぶのに便利であったり、陳列しやすさの関係で今の形に定着したという理由もあります。
興味深いのは、おにぎりは日本語で「おにぎり」とも「おむすび」とも呼ばれる点です。両者は意味上の区別は特になく、人によっても呼び方はそれぞれです。例えばLAWSONでは「おにぎり」、ファミリーマートでは「おむすび」という商品名で呼ばれています。
おにぎりはギュッと握ってはいけない?おにぎり名店が伝授する作り方の秘訣
現在、おにぎりは様々な場所で見られますが、自分で家で作ろうと思った場合、美味しく作るにはどういったポイントがあるのでしょうか?今回は、東京の大塚で60年以上営業している人気おにぎり専門店「おにぎり ぼんご」店主の右近由美子さんに、家でも美味しくおにぎりを作る秘訣を教えてもらいました。
おにぎりに合った米の種類と炊き方
まず、おにぎりの命ともいえる米の選び方は大変重要なポイントです。炊いた後のお米が潰れにくくなるよう、粒が大きくしっかりとしていているものを選びましょう。米粒にツヤがあって弾力感が感じられるものだとなお良いです。このようなお米を使うと、おにぎりを握った時にふわっとした空気をたくさん含むことができるのです。
お米を炊いた時にしっかりした粒立ちが感じられないと、お米をほぐしたりおにぎりを握る時、そして具材を入れる時に米粒がつぶれてしまいます。すると、お米の澱粉質が溢れ出てしまうため、ベトベトとした食感になってしまうのです。
米を研いだ後(無洗米の場合は米を研ぐステップは省略)、米の芯までしっかり水分を吸収させ、常温の水を加え約1時間置きます。そして、水をしっかり吸った米粒をざるに上げ、水気を切り、冷蔵庫に一晩置きます。温度を下げることによって米粒の中の澱粉が糖分になり、この糖化現象により米の甘さがぐっと引き立つのです。あとはいつも通り米を炊けばOKです。
おにぎりの握り方のコツ
丁寧に炊かれたお米があれば、美味しいおにぎり作りは半分成功したも同然です。しかし、もしもう一段階上の美味しさを目指すなら、お米の温度にも気を配らなければなりません。炊きたてのお米は湯気が出ており、水分で米粒がくっつきやすくなっています。なので、まずはしゃもじを使ってお米をほぐし、60-70℃程度まで冷ましてから使うとよいでしょう。
お米と具材の比率に関しては、基本的にはそれぞれの好みに合わせて調整すればいいとされていますが、あまり多すぎても少なすぎても良くありません。おにぎりを食べる時、期待に胸を高鳴らせ、大きく口を開けてかぶりついたのに、お米しかなくて具材までたどり着かなかったというような経験をしたことはありませんか?
このような状況を避けるため、「ぼんご」ではお米と具材の比率を2対1にすることを勧めています。こうすることで、一口目から「お米と具材のハーモニー」を楽しむことが出来るのです。
おにぎり作りのメインイベントともいえる、具材をお米で包む段階に入る前に、まずは両手を水で濡らしましょう。こうすることでお米を手に取った時に、米が手にくっつきづらくなります。
「おにぎり」という日本語には「握る」という意味があり、中国語ではおにぎりを「つまむ」と訳します。実際には手指に込める力が強すぎると、米が硬くなり、米粒の間にふわっとした空間もなくなり、硬い食感となってしまいます。おにぎりを作るのは簡単そうに見えますが、一番大事な秘訣は「強く握りすぎない」ことなのです。
「おにぎり ぼんご」店主の右近さんによると、「ぼんご」ではお米をやや丸く成形した後に、真ん中にくぼみを作り、具材を入れます。そして、同量のお米を取って、真ん中のくぼみに空間を残すようにして、上にかぶせるように乗せているそうです。こうすることにより、お米が具材を潰すことがなくなります。
仕上げに、手でお米を寄せ集め、握るというよりはお米で具材を包み込むようにすることで、炊きたてのお米の柔らかさを保つことができるのだといいます。
ふわふわ、具沢山のおにぎりの食べ方
もちろん、おにぎりは握ったらすぐ食べるのがオススメです。出来たての温かいおにぎりは、コンビニの冷めたおにぎりとは全く違う食べ物と言えるでしょう。日本人は、温かいおにぎりを食べると握ってくれた人の温もりまで感じるといいます。
この記事で紹介したような、ふわふわで柔らかく、具が溢れんばかりにたっぷり入ったおにぎりは、食べる時にお米が崩れたり、具がこぼれやすいことがあります。「ぼんご」のスタッフの話によると、そんなおにぎりの食べ方のポイントは、上からではなく下から食べるということ。普通の人は当然のように上からかぶりつきますが、おにぎりの上側をしっかりおさえて下から少しずつ食べると、海苔がお米や具がこぼれるのを防いでくれるそうなのです。
昔ながらの美味しさ、56種もの具材があるおにぎり専門店「ぼんご」
ここまで、おにぎり専門店「ぼんご」の右近さんが紹介してくれたおにぎり作りの秘訣により、お米の選び方や炊き方、握り方はじゅうぶんにご理解頂けたかと思います。ただ、もう一方のおにぎりの主人公である具材のことも忘れてはいけません。好みの具材を選ぶのはおにぎり作りの楽しみではありますが、結局のところ家で準備できる具材の種類には限界があるでしょう。
もし、おにぎりと相性抜群な具材を一度にいろいろ食べたいなら、東京大塚にある老舗のおにぎり専門店「ぼんご」に行ってみてはいかがでしょうか?店内では56種もの具材から選ぶことができ、きっと満足いくおにぎりに出会うことができると思います。
定番具材である鮭・明太子・いくらなどから、カレー・牛すじ・肉そぼろ・ピーナッツ味噌、チーズベーコンなどの変わり種まで、「ぼんご」では現在56種もの具材メニューが取り揃えられています。ちなみに、2021年に出た最新の具材メニューは「ペペロンチーノ」です。具材メニューは自分の好みで2種類以上を自由に組み合わせることができるほか、別料金でクリームチーズやマヨネーズを追加することも可能です。このような自由度の高さは「ぼんご」ならではのスタイルといえるでしょう。
もちろん、「ぼんご」はお米の品種もこだわりをもって選んでいて、新潟県岩船産のコシヒカリを使っています。岩船は朝晩の温度差が大きいため、米粒の甘みが凝縮され、またその豊かな自然環境により、大粒のお米が育つのです。
海苔は香り高く、アミノ酸が豊富な佐賀県有明産の海苔を使っています。塩はミネラルたっぷりで雑味の少ない沖縄の塩を使っているそうです。「ぼんご」では、お米と具材を完璧にマッチさせるために、塩の量から具材の選び方・調理方法に至るまで、昼夜問わず研究を重ねてきました。
おにぎり作りの為の良い食材選び、具材メニューの多さ、お寿司屋さんのようにその場で注文を取る方式、そして一般的なおにぎりの2倍ほどのボリューム感、、、このような最高の環境で味わうおにぎりの味は格別で、開店前にほぼ毎日長い行列ができることにも納得できます。お客さんの中には、店内でおにぎりを食べた後、さらに持ち帰り用に追加注文までする人も見かけられます。
ちなみに、日本人はもともと梅やいくらなどの定番の味を好んでいましたが、最近ではマヨネーズ味を注文する若者が増えたことを感じているそうです。右近さんはあまりマヨネーズが好きではありませんが、お客さんの度重なる要望を受け、メニューにマヨネーズ味の具材を追加したところ、今や大人気メニューとなったそうです。「若いお客さんはどんな具材でもマヨネーズを追加するのよ」と言いながら右近さんは笑っていました。
「ぼんご」のお客さんの中には外国人の方もいらっしゃいます。もちろん、国によっても好みは異なりますが、外国人客は海鮮系のメニューを好む人が多い傾向にあるそうです。メニューの中には豚キムチなど外国由来の具材もあり、バラエティに富んだ具材メニューは多くの国の人にとって新鮮な印象を与えているようです。
なお、「ぼんご」では外国語メニューも用意されていて、メニュー表には「メニュー番号」が表記されているので、日本語が通じない外国のお客さんもメニュー表を指差しながら安心して注文することができます。
►ぼんごのおにぎりについてもっと詳しく知りたい人、女将の右近さんに興味を持った人は、この記事もぜひお読み下さい:〈東京の大人気おにぎり屋「ぼんご」ができるまで ~店主・右近由美子さんの波乱万丈物語〉
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あなたも一度、手作りのあたたかいおにぎりを食べてみませんか?
お米の優しい食感、パリパリの海苔、好みの具材、様々な要素を組み合わせて楽しめるのがおにぎりの良さです。一見、簡単に作れそうに見えるおにぎりですが、その裏には美味しく食べるための秘訣と作る人の想いが隠されています。皆さんも機会があれば、家でおにぎりを握ってみてはいかがでしょう?そしてもし次に東京を訪れる際には、ぜひとも「ぼんご」に足を運び、60年以上もの間愛されている老舗おにぎり店の味を試してみてください。
この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。