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日本料理の万能食材・豆腐 〜豆腐職人にその魅力を聞く

高タンパクでどんな料理にも合いやすい豆腐。近年では、海外のベジタリアンの間でも高い人気を集めています。しかし、この万能食材の本当の魅力を知らない人はまだまだ多いようです。豆腐は古くから日本料理の定番食材であり、あらゆる味覚や食生活に合わせた多くのバリエーションがあります。今回のtsunagu Japan特集シリーズ 「Culture of Japan」 シリーズでは、東京恵比寿にある豆腐専門店 「豆富食堂」 を訪ね、豆腐の作り方や様々な食べ方について、豆腐職人さんから直接教えていただきました。

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日本で古くから愛されている豆腐とは?

豆腐は何でできているのか?

豆腐は英語で「bean curd」と呼びますが、大豆を原料とする食品の一種で、豆乳を固めたものです。滑らかで柔らかい食感と、大豆の淡い風味が特徴です。豆腐は一般に、大豆とにがりの2つの主原料のみで作られています。

日本における豆腐の起源

豆腐は今から2000年以上前に中国で生まれ、奈良時代(710年~794年)または平安時代(794年~1185年)に遣唐使によってもたらされたと言われています。平安時代には修行僧の食事である「精進料理」の定番となり、それが貴族や武家の間に広がり、長く親しまれてきました。豆腐を食べるのが大衆に広まったのは江戸時代(1603年~1868年)に入ってからで、それ以来、貴重な食材として重宝されています。

豆腐はヘルシー!お肉の代わりとして料理のアクセントにも?

豆腐は多くの料理に使うことができます。高タンパクながらみずみずしいその食感で、ベジタリアンにも欠かせない食材となっています。長い間、日本料理で親しまれてきたので、ベジタリアンでない日本人も豆腐を食事に積極的に取り入れ、肉以外でのタンパク源としても重宝されています。

豆腐は炭水化物や糖質が少ないため、ダイエット中の人にも人気があります。脂肪分の多いタンパク質や炭水化物の代わりとして利用することができるのです。ビタミンやミネラルも豊富で、非常にヘルシーな食品といえるでしょう。

豆腐はヴィーガンでグルテンフリー?

伝統的な豆腐はシンプルな材料から作られており、基本的にヴィーガンで、グルテンフリーす。前述のとおり、ヴィーガンやベジタリアンの人にも人気のあるメニューなのです。

豆腐専門店 「豆富食堂」で豆腐のすべてを学ぶ

私たちtsunagu Japan編集部には食べ物好きが多いので、日本の食文化の裏側を見ることができるとなると、みんな大喜びです。私自身、肉はあまり食べない方なので、ヘルシーで美味しい豆腐は大好きです。だから、東京の豆富食堂で、私の大好物のひとつである豆腐がどのように作られ、調理されるかをこの目で見ることができるのでワクワクしました。

豆富食堂は、その名の通り豆腐の専門店で、職人が豆腐を一から手作りし、それを使って店内で美味しい豆腐料理を提供しています。

東京の有名繁華街である渋谷の隣町、恵比寿にその店はあります。恵比寿駅から歩いてすぐですが、静かな一角にお店は位置しています。レトロな書体で書かれた看板に惹かれて店内に入ると、ガラス窓の向こう側に職人が毎日新鮮な豆腐を作っている工房があり、豆腐作りの工程を見学することができます。豆腐はポピュラーな食材のわりに、実際に作られているところを見られる機会は少なく、大豆が豆腐になっていく工程を見ることができるのは、この食材のことを知る上で、またとないチャンスなのです。

豆富食堂の職人さんたちは私たちを快く迎えてくれ、すぐに作業から離れて、湯気や水の滴る音、機械の音で騒々しい工房の中を案内してくれました。食堂側からも見えるこの工房は、店の豆腐の新鮮さをアピールするとともに、店の主役である豆腐の製造工程を垣間見ることができます。彼らは集中力を切らすことなく、きびきびとした動きで、工房内を飛び回りながら各工程を進め、何が行われているかを説明してくれました。

シンプルだけどおいしい!日本の豆腐職人が教える豆腐の作り方

この工程は、大豆を一晩水に浸けて二回りほど大きくふっくらとさせることから始まります。豆富食堂の豆腐には国産大豆、特に甘みとコクが特徴の宮城県産の 「ミヤギシロメ」のみを使用しています。豆腐職人の熟練した目は、豆腐作りに影響する豆の水分の吸い上げの良し悪しを見分けます。浸水が不十分な豆は、加工が難しく、豆腐の食感にもばらつきが出ます。また、水の温度も1~2度の変化で豆の状態が変わってしまうので、職人は細心の注意を払っています。

その後、豆をすりつぶしてペースト状にし、絹のように滑らかな豆乳になるまで加工します。この工程で多くのメーカーは消泡剤を使っていますが、豆富食堂では代わりに特殊な釜を使うことで、無添加で消泡できるようにしています。

その後、豆乳を漉します。豆富食堂では安全性を考慮して、煮沸消毒した後、冷却してから豆腐に仕上げます。

豆乳は加工の仕方によって、「木綿」や「おぼろ」など、さまざまな種類の豆腐になります。また、豆乳を作るときに出る余分な果肉は「おから」と呼ばれ、これも食用となり、ふっくらとした食感が魅力です。

木綿豆腐とおぼろ豆腐は、同じ材料から作られていますが、作り方によって出来上がりが異なります。どちらも、豆乳ににがりを加えて固めたものです。それをそのままにするとクリーミーなおぼろ豆腐になり、押し固めるとしっかりとした木綿豆腐になるのです。

豆富食堂の豆腐は、職人の手作業によって丁寧に作られており、手際良く、強く、それでいて優しい動きには職人の技が見て取れます。豆腐は気まぐれなため、職人にとって均一に作ることが一番難しいそうです。

木綿豆腐作りの工程は一部秘密の工程もありましたが、出来上がりは美しく、大きさも一般的なスーパーで売られているものの2倍はあるということです。また、おぼろ豆腐も驚くほどなめらか。さらに、薄目の豆乳で作った豆腐を揚げた油揚げは、こんがりとした美しいきつね色をしており、肉厚でジューシーです。

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豆腐ってどんな味?豆富食堂で様々な豆腐を体験

豆腐は味がそれほど強くなく、さまざまな調理法でおいしく食べられる万能食材です。軽く味付けしただけで、そのまま食べるものから、煮込んだり香ばしいタレで調理したり、揚げて新しい食感にしたりと、さまざまなバリエーションがあります。「豆富食堂」には、豆腐の多彩な魅力を一度に味わうことができるメニューがあり、きっと楽しめるはずです。

豆富食堂のメニューは、和食、洋食、中華など、さまざまなジャンルの大豆や豆腐料理を楽しむことができるのが魅力です。今回は、豆富食堂で食べられる様々な味を試してみたいと思い、「豆腐めし」、「おぼろ豆腐」、「厚揚げ」、デザートに「豆腐プリン」を注文しました。

すべてのメニューがベジタリアンやヴィーガン対応というわけではありませんが、だし醤油を使わない作りたてのおぼろ豆腐や豆腐プリンなどのメニューもあり、あらゆる食習慣の人に対応できるようになっています。また、豆富食堂では英語メニューも用意されており、外国の方も簡単に注文することができます。

豆腐めし

牛肉と醤油ベースの煮汁で煮込んだ厚切りの木綿豆腐を、ふっくらと炊き上げたご飯の上にのせた「豆腐めし」は、豆富食堂の看板メニューのひとつです。豆富食堂で作られたばかりの豆腐が煮汁の旨味を吸い込み、ご飯のまろやかな甘さとバランスのとれたほのかな塩気を感じさせます。豆腐も濃厚でボリュームがあり、満足のいく味わいです!

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おぼろ豆腐

「おぼろ豆腐」は、なめらかな豆腐を盛り付け、オリーブオイル、だし醤油、塩で味付けしたものです。豆腐はクリーミーでほんのり甘く、そのままでも十分おいしくいただけるので、豆腐本来の味を楽しみたい方には最適です。味付けの違いが豆腐を複雑な味にし、オリーブオイルと塩を加えると、なんとなく高級チーズを食べているように感じられます。

厚揚げ

個人的に揚げた豆腐は大好きなので、サクサクの「厚揚げ」を口に入れたときは最高でした。豆富食堂では店内で豆腐を揚げているため、外はカリッと、中はふわっとした食感が楽しめます。大根おろし、かつお節、ネギ、甘さ控えめのタレと一緒に食べると、その味わいと食感の変化に、ついついお皿に手が伸びてしまいます。

豆腐プリン

「豆腐プリン」 が目の前に現れた時は、見たことのないプリンだったので、どんな味か想像もつきませんでした。しかし、一口食べてみると、溢れ出るカラメルの風味に圧倒されました。ほのかな大豆の香りが豆腐でてきたプリンであることを感じさせますが、クリーミーさと焦がしキャラメルの風味は、この素材を素晴らしいデザートに変えていました。

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豆腐の選び方と作り方のコツ

豆富食堂では、店内で豆腐を食べさせるだけでなく、店先の陳列ケースで、厚切りの豆腐をさまざまな調理法で調理したものや、新鮮な豆乳、大豆を使った料理やデザートなど、さまざまな大豆製品をお持ち帰りできます。ただし、豆腐は傷みやすいため、すぐに食べる予定があるか、冷蔵保存できる場合のみ購入することをおすすめします。

もし、自分で豆腐料理を作りたいのであれば、豆富食堂のケースに並んでいる商品から選ぶとよいでしょう。豆富食堂のメニューのように豆腐には様々な調理法がありますが、どの豆腐を選ぶかは、それぞれの食感が非常に重要です。

おぼろ豆腐

おぼろ豆腐は非常に柔らかく、崩れやすいので、「冷や奴」のようにタレやトッピングを加えて、そのまま食べるのがおすすめです。その方が、豆腐の純粋で新鮮な風味を楽しめます。

木綿豆腐

木綿豆腐はおぼろ豆腐や絹豆腐と比べて食感がしっかりとしており、様々な料理に合わせてアレンジすることができます。フライパンで焼いたり、煮込んだり、揚げたりと、調理法を工夫することが可能です。また、他の味を邪魔しない繊細な味わいの豆腐は、肉の代用品として様々な料理で活躍します。

油揚げ、厚揚げ

油揚げや厚揚げは、外側の油分にタレが染み込みやすく、味を凝縮させる効果があります。また、油揚げは豆腐の食感がしっかりしているので、調理しても崩れにくいという特徴があります。しっかりとタンパク質をとりたい人やタレが染み込みやすい料理を作りたい人に最適な食材です。

豆腐の素晴らしさを知っていただくために

豆腐はその繊細な味わいと豊富な栄養素により、あらゆる料理のアクセントとして、あるいは主役として、本当に便利で素晴らしい食材です。そして、豆富食堂の豊富なメニューは、幅広い種類の豆腐を体験してみたい人にとって、食習慣や好みに関わらず、たくさんの人を満足させてくれることでしょう。この記事で豆腐の魅力が気になった人はぜひ訪れてみてください。

この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。

ライター紹介

Kim
Kim S.
アメリカで生まれ育ち、現在は東京を拠点に活動しています。日本の伝統文化が大好きで、レトロやローカルな雰囲気、タイムスリップしたような気分にさせてくれる場所を求めて、日本中の静かな街や穴場を訪れています。47都道府県のおいしいコーヒーショップや知られていない素敵な場所を探すのも楽しみのひとつ。
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